「イシューからはじめよ」を読んだ
- 作者: 安宅和人
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2010/11/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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せっかく読んだので、気になった、あるいは気に入ったところのメモ。
明確化する
「これは何に答えを出すためのものなのか」というイシューを明確にしてから問題に取り組まなければ後で必ず混乱が発生し、目的意識がブレて多くのムダが発生する。
それから
「こんな感じのことを決めないとね」といった「テーマの整理」程度で止めてしまう人が多いが、これでは まったく不足している(中略)「やってみなければわからないよね」といったことは決して言わない。ここで踏ん張り切れるかどうかが、あとから大きく影響してくる
さらに発展して
「できる限り先んじて考えること、知的生産における段取りを考えること」を英語で「Think ahead of the problem」と言う。
怒られてる気がした。これやっちゃって失敗してるわーって。
「今はまだわからない」って思考停止は実行するのが簡単すぎる。諦める前に一歩立ち止まりたい。
諦めるな、僕。
方向を定める
よいイシューの表現は、「~はなぜか?」といういわゆる「WHY」ではなく、「WHERE」「WHAT」「HOW」の形をとることが多い。
問題を整理しようとするとき、僕達はよく、「なぜ」という言葉を使うけど、「なぜ」という言葉は問題の本質をぼやけさせてしまうように思う。
「答え」が存在する
どれほどカギとなる問いであっても、「答えを出せないもの」はよいイシューとは言えないのだ。「答えを出せる範囲でもっともインパクトのある問い」こそが意味のあるイシューとなる。
筆者は本書の冒頭で、 「悩む」=「答えが出ない」 、 「考える」=「答えが出る」 という考え方を示している。それだけでなく「答えが出るものの中でも最も影響が大きいものを扱うようにしろ」と言っている。
すべての「答えが出るもの」を扱うには人間は小さすぎる。
やりすぎ
情報収集にかけた努力・手間とその結果得られる情報量にはある程度のところまでは正の相関があるが、そこを過ぎるととたんに新しい取り込みのスピードが鈍ってくる。
また
ある情報量までは急速に知恵が湧く。だが、ある量を超すと急速に生み出される知恵が減り、もっとも大切な「自分ならではの視点」がゼロに近づいていくのだ。
取り入れる情報量には注意しないと、気を抜くと自分で考えることをやめてしまったり、自分でも気づかないうちに集めた情報によって考えの幅が狭められたりしてしまう。
集めた情報に逆に洗脳されちゃうような感じは確かにある。そして
数字をこねくり回さず、手早くまとめることが大切だ。1回ごとの完成度よりも取り組む回数(回転数)を大切にする。また、90%以上の完成度を目指せば、通常は途方もなく時間がかかる。そのレベルはビジネスではもちろん、研究論文でも要求されることはまず無い。そういう視点で「受け手にとっての十分なレベル」を自分のなかで理解し、「やり過ぎない」ように意識することが大切だ。
ただでさえ、僕は時間をかけ過ぎると飽きちゃうので、モチベーションをマネジメントするためにも「一つ一つをやり過ぎ、短い時間で複数回」というのは気をつけないと…
努力というか
既存の手法についてひと通りなじむには、どのような分野であっても相当な年数がかかる。
さらに
実際のところ、どのような分野であっても、多くのプロを目指す修行のかなりの部分はこれら既存の手法、技の習得に費やされる。
周りの人たちを見ているとわかってくるのだけど、一つの分野で素晴らしいパフォーマンスとクオリティで仕事をしている人たちは、みなさん驚くほど引き出しを持っておられる。 そこに追い付きたいし、追い越したい。たぶんそこには近道なんか無いんだろうなーってよく思う。
プロとしての意識
「コンプリート・スタッフ・ワーク(Complete Staff Work)」これは「自分がスタッフとして受けた仕事を完遂せよ。いかなるときにも」という意味だ。この「コンプリートワーク」という言葉はプロフェッショナルとして仕事をする際には、常に激しく自分にのしかかってくる。
完遂の定義にもよるけど、というか完遂の定義を事前にしておかないといけないな。
まあそれとは別に、たとえクソのようなプロジェクトでも何とかして着陸させないといけないし、そういう意味ではやっぱり働く上で一番必要な心構えだと思う。
イキルサイノウ
「人から褒められること」ではなく、「生み出した結果」そのものが自分を支え、励ましてくれる。
自分で生み出したという事実だけが生きる勇気をくれるのではないか。そう考えるとちょっと光が見える気がする。
おわりに
読んでよかった一冊です。
気に入ったフレーズだけをピックアップしましたが、本文はもっと具体的な例、論文を書く際やプレゼンテーションの資料を作る際に参考になる考え方が示されていたので、初めて論文を書くことになる大学生なんかは読んでおいて損はないんじゃないかと思います。